税金

空き家の固定資産税はいくら?住宅用地の特例と税額が上がる2つの場面

公開 更新 執筆 合同会社商陣 編集部

結論

  • 空き家の固定資産税は、住んでいなくても毎年1月1日の所有者にかかります。税率は標準で1.4%です。
  • 家が建っている土地は「住宅用地の特例」で、課税標準(税額を計算するもとの金額)が200㎡までの部分は価格の1/6、それを超える部分は1/3になっています。
  • 空き家の固定資産税が上がるのは、主に家を解体して更地にしたときと、自治体から勧告を受けたときの2つの場面です。
この記事の目次
  1. 空き家の固定資産税の仕組み
  2. 空き家の固定資産税を軽くしている住宅用地の特例
  3. 空き家の固定資産税が上がる2つの場面
    1. 空き家を解体して更地にしたとき
    2. 管理不全空家・特定空家として勧告を受けたとき
  4. 空き家の固定資産税の計算例
  5. 相続した空き家の固定資産税は誰に届くか
  6. 空き家の固定資産税を上げないためにできること
  7. 費用・期限・数字のまとめ
  8. よくある質問

空き家の固定資産税の仕組み

空き家の固定資産税は、人が住んでいるかどうかに関係なく、土地と建物を持っている人にかかる税金です。地方税法で、課税の基準になる日(賦課期日)は毎年1月1日と決められていて、その日に固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に、その年度の税額が通知されます。

税額の計算は、市区町村が決めた固定資産の価格(評価額)をもとに「課税標準額 × 税率」で出します。固定資産税の標準税率は1.4%です。市街化区域の土地と建物には、あわせて都市計画税がかかることがあり、こちらの税率は0.3%が上限です。

ポイントは、空き家の固定資産税は「建物」と「土地」の2つに分かれていることです。空き家の税金が上がる・下がるという話のほとんどは、土地のほうの話です。

空き家の固定資産税を軽くしている住宅用地の特例

空き家の固定資産税が安く済んでいるのは、家が建っている土地に「住宅用地の特例」がかかっているからです。住宅の敷地になっている土地は、課税標準が価格より小さくなるように決められています(地方税法349条の3の2)。

区分対象になる面積固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地住宅1戸につき200㎡までの部分価格の1/6価格の1/3
一般住宅用地200㎡を超える部分価格の1/3価格の2/3

たとえば一戸建ての敷地が150㎡なら、全体が小規模住宅用地です。300㎡なら、200㎡までが小規模住宅用地、残りの100㎡が一般住宅用地になります。

住宅用地の特例は「住宅が建っていること」が前提です。そのため、空き家でも家が建っていれば特例がかかり、家がなくなると特例も外れます。

空き家の固定資産税が上がる2つの場面

空き家の固定資産税が上がるのは、住宅用地の特例が外れるときです。特例が外れる場面は、大きく次の2つです。

空き家を解体して更地にしたとき

空き家の固定資産税は1月1日の状態で決まるので、年の途中で家を解体すると、次の1月1日には住宅がない土地になります。そのため、解体した翌年度から住宅用地の特例が外れ、土地の税額が上がります。建物のほうの固定資産税は、取り壊した翌年度からかからなくなります。

管理不全空家・特定空家として勧告を受けたとき

管理が行き届かず、そのままにすると危険になるおそれのある空き家は、市区町村から「管理不全空家」または「特定空家」として指導を受けることがあります。指導で改善されずに勧告まで進むと、家が建っていても、その敷地は住宅用地の特例の対象から外れます(地方税法349条の3の2)。

東京都主税局は、1月1日までに勧告に対する必要な措置が取られない場合、その年度から特例の対象外になると説明しています。勧告が出るまでの流れと、いつから上がるのかは空き家の固定資産税が6倍になるのはいつからで詳しく説明しています。

このほか、勧告がなくても、構造上住宅と認められない状態の家や、使う見込みがなく取り壊しを予定している家などは、総務省の通知で特例の対象となる「住宅」に当たらないとされています(国土交通省の資料)。長く手を入れていない空き家は、市区町村の判断で特例が外れることがある、と考えておくのが安全です。

空き家の固定資産税の計算例

空き家の固定資産税がどれくらい変わるのかを、土地だけの単純化した例で見てみます。実際の税額は評価額と、税額の急な上昇をならす「負担調整措置」によって変わるため、ここでは仕組みをつかむための目安として見てください。

条件:敷地150㎡、土地の評価額1,200万円、税率1.4%(都市計画税は含めない)

状態課税標準の考え方課税標準額土地の固定資産税
家が建っている(特例あり)評価額の1/6200万円2万8,000円
特例が外れた評価額の7割が上限840万円11万7,600円

特例が外れても、住宅用地以外の宅地は課税標準が評価額の7割までに抑えられています。そのため、税額は6倍ではなく、この例ではおよそ4.2倍になります。兵庫県朝来市も、住宅を解体した場合の固定資産税は最大で4.2倍になると説明しています。

大事なのは、「6倍」は課税標準の割合(1/6が外れる)から来た言い方で、税額がそのまま6倍になるわけではないことです。自分の空き家の正確な税額は、土地のある市区町村の資産税課で試算してもらうのが確実です。

相続した空き家の固定資産税は誰に届くか

相続した空き家の固定資産税は、相続登記がまだでも止まりません。地方税法では、登記上の所有者が1月1日より前に亡くなっている場合、その日に土地や家屋を「現に所有している者」に課税するとしています(地方税法343条2項)。

相続人が複数いるときは、市区町村からの書類を受け取る代表者を「相続人代表者指定届」で届け出ることができます。また、令和2年度の地方税法改正で「現所有者申告」の制度ができ、横浜市や東京都のように、相続人に対して3か月以内の申告を求めている自治体があります。申告の様式と期限は自治体ごとに違うので、空き家のある市区町村のページで確かめてください。

固定資産税の支払いだけでなく、相続登記も2024年4月1日から義務になっています。相続したときの手続き全体は空き家の相続でまずやることにまとめています。

空き家の固定資産税を上げないためにできること

空き家の固定資産税を上げないためには、住宅用地の特例が外れる2つの場面を避けるのが基本です。

  • 管理を続けて、指導の段階で対応する。市区町村の指導の段階では、固定資産税は変わりません。指導の内容に沿って修繕や草木の手入れをすれば、勧告に進むのを防げます。管理不全空家の基準は管理不全空家とはで説明しています。
  • 解体するなら、1月1日との関係を確かめる。解体した翌年度から土地の税額が上がります。売却や建て替えの予定と合わせて、解体の時期を決めるのが安全です。解体の費用は空き家の解体費用で整理しています。
  • 売る・貸すなど、持ち続けない方法も比べる。相続した空き家を売るときは、条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。詳しくは相続空き家の3,000万円特別控除をご覧ください。

費用・期限・数字のまとめ

項目内容根拠
課税の基準日毎年1月1日(その日の所有者に課税)地方税法359条
固定資産税の税率標準税率1.4%地方税法350条
都市計画税の税率0.3%が上限地方税法702条の4
小規模住宅用地200㎡までの部分:固定資産税1/6、都市計画税1/3地方税法349条の3の2、702条の3
一般住宅用地200㎡を超える部分:固定資産税1/3、都市計画税2/3同上
特例が外れる場面更地にしたとき/管理不全空家・特定空家として勧告を受けたとき地方税法349条の3の2
特例が外れたときの上がり方課税標準は評価額の7割が上限。税額はおおむね最大4.2倍朝来市の説明

よくある質問

空き家でも固定資産税はかかりますか?
かかります。固定資産税は住んでいるかどうかではなく、1月1日に土地と建物を持っているかどうかで課税されます。
空き家を解体すると固定資産税はいつから上がりますか?
解体した次の1月1日に住宅がない状態になるので、その年度から土地の住宅用地の特例が外れます。建物の固定資産税は、取り壊した翌年度からかからなくなります。
固定資産税が6倍になるというのは本当ですか?
課税標準が1/6に軽くなっている特例が外れる、という意味での「6倍」です。住宅用地以外の宅地は課税標準が評価額の7割までに抑えられるため、税額はおおむね最大4.2倍になります。
相続登記をしていない空き家の固定資産税は誰が払いますか?
1月1日に現にその空き家を所有している相続人に課税されます。相続人が複数いる場合は、代表者を市区町村に届け出ることができます。

次に読む記事

税金

空き家の固定資産税6倍はいつから?勧告と1月1日の関係を解説

空き家の固定資産税が6倍になると言われるのは、勧告で住宅用地の特例が外れるためです。正確には、勧告を受けて1月1日までに改善されなければ、その年度から特例の対象外になります。指導の段階では上がらないことと、実際の上がり方を一次資料で整理します。

管理と法律

管理不全空家とは?特定空家との違いと、指導・勧告を受けたときの対応

管理不全空家とは、適切に管理されず、そのままでは特定空家になるおそれのある空き家です。2023年12月施行の改正空家法で新設され、勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例が外れます。特定空家との違いと対応を整理します。

解体

空き家の解体費用|国が補助の計算に使う単価と、費用が増える6つの要因

空き家の解体費用は、建物の構造と延べ床面積でおおよそが決まり、付帯工事や残置物、アスベストで増えます。国交省が補助の計算に使う1㎡あたりの上限単価、解体で必要な届出と調査、解体後の固定資産税、補助金の探し方を、一次資料で整理します。

相続

空き家の相続でまずやること|4つの期限の早見表と選べる4つの方法

空き家の相続は、相続放棄の3か月、相続税申告の10か月、相続登記の3年と、期限の短い手続きから順に重なっています。空き家を相続したときに選べる4つの方法と、期限・費用・窓口を、法務省・国税庁・裁判所の一次情報で整理します。

出典

最終更新日
執筆
合同会社商陣 編集部
運営
合同会社商陣

この記事は2026年9月時点の法令・制度をもとにしています。税金・登記・補助金の扱いは個別の事情と年度で変わるため、最終的な判断は税理士・司法書士・市区町村の窓口に確認してください。詳しくは免責事項をご覧ください。