税金
空き家の固定資産税6倍はいつから?勧告と1月1日の関係を解説
結論
- 空き家の固定資産税6倍は、市区町村から勧告を受け、1月1日までに改善されなかったときに、その年度から住宅用地の特例が外れることを指しています。
- 指導や助言の段階では、固定資産税は変わりません。勧告を受けても、1月1日までに必要な措置を取れば特例は外れません。
- 「6倍」は課税標準の割合の話です。住宅用地以外の宅地は評価額の7割が上限になるので、税額はおおむね最大4.2倍です。
この記事の目次
空き家の固定資産税6倍の意味
空き家の固定資産税6倍という言い方は、住宅用地の特例から来ています。家が建っている土地のうち200㎡までの部分は、固定資産税の課税標準(税額を計算するもとの金額)が価格の1/6に軽くなっています。この特例が外れると、1/6だったものが元に戻るので「6倍」と言われます。
ただし、特例が外れた土地は、商業地などと同じく課税標準が評価額の7割までに抑えられます。そのため、評価額が同じなら税額は「1/6 → 7/10」で、およそ4.2倍になります。兵庫県朝来市は、住宅を解体した場合の土地の固定資産税は最大で4.2倍、一般的には3.5倍程度になる可能性があると説明しています。
空き家の固定資産税6倍はいつから始まるか
空き家の固定資産税6倍(住宅用地の特例が外れること)は、勧告を受けたらすぐに始まるわけではありません。固定資産税は毎年1月1日の状態で課税が決まるため、特例が外れるかどうかも1月1日の時点で判断されます。
東京都主税局は、賦課期日(1月1日)までに勧告に対する必要な措置が講じられない場合、その年度から住宅用地の特例の対象外になると説明しています。
勧告はふつう年の途中に出るので、結果として「勧告を受けた翌年度から上がる」ことが多くなります。一方で、12月に勧告を受けても、翌年1月1日までに必要な措置を取れば、その年度の特例は外れません。
空き家の固定資産税6倍の対象になる2つの空き家
空き家の固定資産税6倍の対象になるのは、空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)で勧告を受けた空き家です。2023年12月13日の改正法の施行で、対象が1つ増えました。
| 区分 | どんな空き家か | 勧告の根拠 |
|---|---|---|
| 特定空家等 | 倒壊など著しく保安上危険となるおそれ、著しく衛生上有害となるおそれがあるなど、4つの状態のどれかにある空き家 | 空家法22条2項 |
| 管理不全空家等 | 適切に管理されておらず、そのままにすると特定空家等になるおそれがある空き家 | 空家法13条2項 |
以前は特定空家等だけが対象でしたが、改正後は、その手前の管理不全空家等も勧告を受けると特例が外れるようになりました。2つの違いは管理不全空家とはで詳しく説明しています。
空き家の固定資産税6倍を避けるためにできること
空き家の固定資産税6倍を避けるには、勧告まで進ませないこと、勧告を受けても1月1日までに改善することの2つが基本です。
- 指導の内容を確かめる。市区町村からの通知には、どこを直せばよいかが書かれています。分からないときは、通知を出した空き家担当課に問い合わせるのが確実です。
- 直せない事情があれば早めに相談する。遠方に住んでいる、費用が用意できないといった事情は、指導の段階で伝えると、進め方を相談できることがあります。解体や改修の補助金を持っている市区町村もあります。
- 売る・解体するなら時期を決めてから。解体すると、勧告とは関係なく翌年度から特例が外れます。解体を選ぶときは費用と税額の両方を比べるのが安全です。費用の考え方は空き家の解体費用にまとめています。
特定空家等は、勧告のあとに命令、行政代執行(市区町村が所有者に代わって取り壊しなどを行い、費用を所有者に請求する仕組み)へと進むことがあります。命令に違反すると50万円以下の過料の対象になります(空家法30条)。
空き家の固定資産税6倍と更地にした場合の違い
空き家の固定資産税6倍(勧告による特例の除外)と、家を解体して更地にした場合は、どちらも土地の住宅用地の特例が外れるという点で同じです。違うのは、建物の固定資産税が残るかどうかです。
- 勧告で特例が外れた場合:建物は残っているので、建物の固定資産税もかかり続けます。
- 解体した場合:建物の固定資産税は取り壊した翌年度からかかりません。そのかわり、解体の費用がかかります。
勧告を受けたまま空き家を残すと、土地の特例が外れ、建物の税金も払い続けることになります。持ち続けるか手放すかを含めて考えるときは、空き家の固定資産税の仕組みから全体を確かめてください。
費用・期限・数字のまとめ
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 6倍の意味 | 小規模住宅用地の課税標準1/6の特例が外れること | 地方税法349条の3の2 |
| 実際の上がり方 | 課税標準は評価額の7割が上限。税額はおおむね最大4.2倍 | 朝来市の説明 |
| いつから | 勧告を受け、1月1日までに必要な措置がないとき、その年度から | 東京都主税局の説明 |
| 対象 | 勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等 | 空家法13条2項・22条2項 |
| 管理不全空家の追加 | 2023年12月13日施行の改正法から | 国土交通省 |
| 命令違反の過料 | 50万円以下(特定空家等への命令) | 空家法30条1項 |
よくある質問
- 指導を受けただけで固定資産税は上がりますか?
- 上がりません。住宅用地の特例が外れるのは勧告を受けた場合です。指導の段階で改善すれば、勧告に進むのを防げます。
- 勧告を受けたら、その年から固定資産税が上がりますか?
- 固定資産税は1月1日の状態で決まります。勧告を受けて、次の1月1日までに必要な措置を取らなかった場合、その年度から特例が外れます。
- 固定資産税は本当に6倍になりますか?
- 課税標準の割合で見ると6倍ですが、住宅用地以外の宅地は評価額の7割が上限です。税額はおおむね最大4.2倍で、負担調整措置によってはそれより小さくなります。
- 勧告を受けたあとに直した場合はどうなりますか?
- 1月1日までに勧告に対する必要な措置が取られていれば、その年度は特例の対象外になりません。措置が済んだかどうかは市区町村が判断するので、担当課に確認してください。
次に読む記事
管理不全空家とは?特定空家との違いと、指導・勧告を受けたときの対応
管理不全空家とは、適切に管理されず、そのままでは特定空家になるおそれのある空き家です。2023年12月施行の改正空家法で新設され、勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例が外れます。特定空家との違いと対応を整理します。
税金空き家の固定資産税はいくら?住宅用地の特例と税額が上がる2つの場面
空き家の固定資産税は、住んでいなくても1月1日の所有者にかかります。家が建っている土地は住宅用地の特例で最大1/6に軽くなり、解体や勧告でこの特例が外れると税額が上がります。仕組みと計算例を地方税法と自治体の資料で整理します。
解体空き家の解体費用|国が補助の計算に使う単価と、費用が増える6つの要因
空き家の解体費用は、建物の構造と延べ床面積でおおよそが決まり、付帯工事や残置物、アスベストで増えます。国交省が補助の計算に使う1㎡あたりの上限単価、解体で必要な届出と調査、解体後の固定資産税、補助金の探し方を、一次資料で整理します。
出典
この記事は次の一次情報をもとに書いています(2026年9月時点)。
この記事は2026年9月時点の法令・制度をもとにしています。税金・登記・補助金の扱いは個別の事情と年度で変わるため、最終的な判断は税理士・司法書士・市区町村の窓口に確認してください。詳しくは免責事項をご覧ください。