未登記建物

未登記建物の相続|固定資産税・遺産分割・登記の進め方と注意点

公開 更新 執筆 合同会社商陣 編集部

結論

  • 未登記建物も相続の対象です。遺産分割で誰が相続するかを決め、市区町村に所有者の変更を届け出れば、固定資産税の通知先が変わります。
  • 2024年4月からの相続登記の義務は、所有権の登記がある不動産が対象です(不動産登記法76条の2)。未登記建物には、かわりに表題登記の申請義務があります(47条1項)。
  • 売る予定があるなら、表題登記 → 所有権保存登記の順に、相続人の名前で登記しておくと手続きが進めやすくなります。
この記事の目次
  1. 未登記建物の相続で最初にすること
  2. 未登記建物の相続と遺産分割協議書
  3. 未登記建物を相続したときの固定資産税
  4. 未登記建物の相続と相続登記の義務化
  5. 未登記建物を相続人の名前で登記する順番
  6. 未登記建物を相続したあとの3つの選び方
  7. 費用・期限・数字のまとめ
  8. よくある質問

未登記建物の相続で最初にすること

未登記建物の相続は、登記がないだけで、相続の対象になることは登記のある建物と変わりません。最初にするのは、その建物が本当に未登記なのかと、どの建物のことなのかを確かめることです。

  • 固定資産税の課税明細書で、家屋番号がない建物を確かめる
  • 法務局で登記事項証明書を取り、登記がないことを確かめる
  • 母屋は登記されていて、増築部分や物置だけが未登記ということもあるので、建物ごとに確かめる

未登記建物かどうかの調べ方は未登記建物とはで詳しく説明しています。

未登記建物の相続と遺産分割協議書

未登記建物の相続では、遺産分割協議書に建物をどう書くかが問題になります。登記されている建物は家屋番号で特定できますが、未登記建物には家屋番号がありません。

そのため、固定資産税の課税明細書に書かれている所在、種類、構造、床面積を使って、「未登記」であることが分かるように建物を特定して書くのが一般的です。書き方に不安があるときは、遺産分割協議書を作る段階で司法書士に確かめておくと、あとで登記に使うときに困りません。

ポイントは、未登記建物を遺産分割協議書から書き漏らさないことです。書き漏らすと、その建物だけ相続人全員の共有のまま残り、あとで売ったり解体したりするときに、改めて全員の同意が必要になります。

未登記建物を相続したときの固定資産税

未登記建物を相続したら、固定資産税の手続きを先に済ませます。未登記建物の所有者は市区町村の課税台帳だけで管理されているので、届け出ない限り、亡くなった人の名前のままになります。

新潟県新発田市は、相続で未登記家屋の所有者が変わったときは「未登記家屋所有者変更届」に相続人が分かる書類を添えて出すよう案内しています。届出の名前と様式は市区町村ごとに違うので、建物のある市区町村の資産税課のページで確かめてください。

届出がまだでも、1月1日に建物を現に所有している相続人に固定資産税がかかります(地方税法343条2項)。空き家の固定資産税の仕組みは空き家の固定資産税で説明しています。

未登記建物の相続と相続登記の義務化

2024年4月1日から相続登記が義務になりましたが、この義務は、所有権の登記名義人について相続が始まったときに、相続で所有権を取得した人に課されるものです(不動産登記法76条の2)。未登記建物には所有権の登記名義人がいないので、この相続登記の義務はそのままでは当てはまりません。

そのかわり、未登記建物には表題登記の申請義務があります。不動産登記法47条1項は、表題登記がない建物の所有権を取得した人は、取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならない、と定めていて、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(164条)。

相続で未登記建物を取得した人がこの義務の対象になるかは、条文の読み方として当てはまると考えられますが、個別の事情で扱いが変わることもあります。建物のある地域の法務局の登記手続案内で確かめると確実です。

未登記建物を相続人の名前で登記する順番

未登記建物を相続人の名前で登記するときは、表題登記と所有権保存登記の2段階を順に行います。

遺産分割で相続する人を決める遺産分割協議書に未登記建物を特定して書く
市区町村に所有者の変更を届け出る固定資産税の通知先を相続人に変える
表題登記を申請する相続人を表題部所有者として登記する。建物の図面が必要なので、土地家屋調査士に頼むのが一般的
所有権保存登記を申請する相続人の名前で権利の登記をする。司法書士に頼むことが多い

表題登記には登録免許税がかかりません。所有権保存登記には建物の評価額の0.4%の登録免許税がかかります。

解体する予定なら、登記をせずに解体して、市区町村に取り壊しを届け出る方法もあります。売るのか、解体するのかを先に決めてから、どこまで登記するかを決めると、無駄な費用をかけずに済みます。

未登記建物を相続したあとの3つの選び方

未登記建物を相続したあとは、次の3つのどれを選ぶかで、必要な登記が変わります。

選び方必要な登記市区町村への届出
持ち続ける・住む・貸す表題登記(義務)。所有権保存登記はできれば所有者の変更
売る表題登記と所有権保存登記(買主の融資に必要なことが多い)所有者の変更
解体する登記せずに解体することもできる所有者の変更と、取り壊しの届出

相続した空き家を売るときは、条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。条件は相続空き家の3,000万円特別控除で確かめてください。

費用・期限・数字のまとめ

項目内容根拠
相続の対象か対象になる。遺産分割協議書に特定して書く民法896条
固定資産税相続人に課税。市区町村に所有者の変更を届け出る地方税法343条2項、新発田市の案内
相続登記の義務所有権の登記名義人の相続が対象(未登記建物はそのままでは当てはまらない)不動産登記法76条の2
表題登記の義務表題登記がない建物の所有権を取得した日から1か月以内不動産登記法47条1項
怠ったとき10万円以下の過料不動産登記法164条
登録免許税表題登記はかからない。所有権保存登記は評価額の0.4%登録免許税法、国税庁 No.7191

よくある質問

未登記建物を相続したら、必ず登記しないといけませんか?
表題登記がない建物の所有権を取得した人には、1か月以内に表題登記を申請する義務があります(不動産登記法47条1項)。相続で取得した場合の扱いは、法務局で確かめると確実です。
未登記建物は相続登記の義務化の対象ですか?
相続登記の義務は、所有権の登記名義人について相続が始まったときのものです。未登記建物には所有権の登記がないため、そのままでは当てはまりません。そのかわり表題登記の義務があります。
未登記建物を遺産分割協議書にどう書けばいいですか?
家屋番号がないので、固定資産税の課税明細書に書かれた所在・種類・構造・床面積で特定し、未登記であることが分かるように書くのが一般的です。
未登記建物を解体するなら登記は要りませんか?
登記をせずに解体することもできます。その場合は、市区町村に取り壊しを届け出て、翌年度からの固定資産税の課税を止めます。

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執筆
合同会社商陣 編集部
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この記事は2026年9月時点の法令・制度をもとにしています。税金・登記・補助金の扱いは個別の事情と年度で変わるため、最終的な判断は税理士・司法書士・市区町村の窓口に確認してください。詳しくは免責事項をご覧ください。