解体
空き家の解体費用|国が補助の計算に使う単価と、費用が増える6つの要因
結論
- 空き家の解体費用は、構造(木造か鉄骨・RC造か)× 延べ床面積でおおよそが決まり、塀・庭木・浄化槽などの付帯工事、家の中の荷物、アスベストで増えます。
- 国土交通省が補助の計算に使う除却工事費の上限は、令和8年度で1㎡あたり木造36,000円、非木造51,000円です。相場ではなく補助の計算上の上限なので、実際の費用は見積もりで確かめます。
- 床面積80㎡以上の解体は、工事の7日前までに届出が必要です。解体すると翌年度から土地の住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がります。
この記事の目次
空き家の解体費用の決まり方
空き家の解体費用は、「建物本体の解体」と「それ以外の工事」に分けると見通しが立ちます。
| 費用の分かれ方 | 主な中身 | 費用を決めるもの |
|---|---|---|
| 建物本体の解体 | 建物を壊し、廃材を分別して運び出す | 構造(木造・鉄骨造・RC造)、延べ床面積 |
| 付帯工事 | ブロック塀、門、庭木・庭石、カーポート、浄化槽、井戸 | 数と大きさ |
| 残置物の処分 | 家具・家電・日用品など家の中の荷物 | 量と種類 |
| 調査・届出・整地 | アスベストの事前調査、届出、解体後の整地 | 建物の年代と面積 |
空き家の解体費用の見積もりでは、建物本体の単価だけで比べると、付帯工事や残置物が別料金になっていて、あとで金額が増えることがあります。見積もりを比べるときは、何が含まれているかを同じ条件にそろえて比べるのが良いです。
国が補助の計算に使う解体費用の単価
空き家の解体費用には、公的な「相場」はありません。そのかわり、国土交通省が補助金の額を計算するときに使う上限の単価が公表されています。
国土交通省の「令和8年度における住宅局所管事業に係る標準建設費等について」では、空き家住宅などの除却工事費を、1㎡あたりの額に延べ面積をかけて出すとしていて、その1㎡あたりの額の上限を次のように決めています。
| 構造 | 除却工事費の上限(1㎡あたり) | 延べ面積100㎡の場合 |
|---|---|---|
| 木造 | 36,000円 | 360万円 |
| 非木造(鉄骨造・RC造など) | 51,000円 | 510万円 |
この単価は、国の補助金を計算するときに「これ以上は補助の対象にしない」という上限です。実際の解体費用の相場ではありません。実際の費用は、建物の状態・立地・付帯工事で大きく変わるので、複数の解体業者から見積もりを取って確かめてください。
自治体の解体補助も、この国の単価をもとに「補助の対象になる費用」を計算していることがあります。補助金の上限額が決まっている場合でも、補助の対象経費の計算に単価の上限がかかることがあるので、募集要項で確かめてください。
空き家の解体費用が増える6つの要因
空き家の解体費用が見積もりより増えやすいのは、次の6つの場面です。
- 家の中に荷物が残っている。家具や家電を解体業者に処分してもらうと、その分の費用がかかります。自分で片付けられるものを先に処分しておくと、費用を抑えられます。
- 付帯物が多い。ブロック塀、庭木・庭石、浄化槽、井戸などは、建物とは別に撤去費用がかかります。
- アスベストが使われている。事前調査でアスベストを含む建材が見つかると、飛び散らないように除去する作業が必要になり、費用が増えます。
- 重機が入らない。前の道が狭い、敷地が奥まっているなど、重機を入れられない場所では、手作業の解体が増えます。再建築不可物件に多い形です。
- 地中から埋設物が出る。古い基礎や浄化槽、廃材が地中から出てくると、追加の撤去費用がかかります。
- 隣の家と近い。隣家との距離が近いと、養生(騒音やほこりを防ぐ囲い)を厚くしたり、手作業を増やしたりする必要があります。
重機が入らない土地は、建て替えにも制約があることが多いので、再建築不可物件とはもあわせて確かめてください。
空き家の解体で必要な届出と調査
空き家の解体には、法律で決められた届出と調査があります。多くは解体業者が行いますが、発注者(持ち主)が義務を負うものもあります。
| 手続き | 対象 | 期限 | 義務を負う人 |
|---|---|---|---|
| 建設リサイクル法の届出 | 床面積の合計が80㎡以上の建物の解体 | 工事に着手する日の7日前まで | 発注者(持ち主) |
| アスベストの事前調査と結果の報告 | 事前調査はすべての解体。報告は解体する床面積の合計が80㎡以上 | 工事の前 | 元請業者(持ち主に書面で説明) |
| 建物滅失登記 | 登記されている建物 | 取り壊した日から1か月以内 | 所有者(登録免許税はかからない) |
| 市区町村への届出 | 未登記の建物 | 取り壊したあと | 所有者 |
建設リサイクル法の届出は、発注者の義務です。多くの場合、解体業者が書類を用意して、発注者から委任を受けて提出します。契約のときに、誰が届け出るかを確かめておくと安心です。
アスベストの事前調査の結果の報告制度は2022年4月1日に始まりました。見積もりの段階で調査の費用が含まれているかを確かめてください。
空き家を解体したあとの固定資産税
空き家を解体すると、次の1月1日には住宅がない土地になるため、翌年度から土地の住宅用地の特例が外れます。建物の固定資産税はかからなくなりますが、土地の固定資産税は上がります。
住宅用地の特例では、200㎡までの部分の課税標準が価格の1/6に軽くなっています。特例が外れると、課税標準は評価額の7割が上限になるので、土地の税額はおおむね最大4.2倍になります。解体費用と、解体後に毎年増える税額の両方を比べて、解体する時期を決めるのが安全です。仕組みと計算例は空き家の固定資産税で説明しています。
相続した空き家を売る予定なら、解体して売ると相続空き家の3,000万円特別控除を使える場合があります。2024年1月1日以後は、買主が翌年2月15日までに解体しても対象になるので、売主が解体費を先に払わない売り方もあります。
空き家の解体に使える補助金の探し方
空き家の解体に使える補助金は、国が所有者に直接配るものではなく、市区町村が国の交付金などを使って用意しているものが中心です。国土交通省の空き家対策総合支援事業では、市区町村が行う空き家の除却や、所有者が行う除却への市区町村の補助に、国が上乗せする形で支援しています。
そのため、補助金があるかどうか、いくら出るかは、空き家のある市区町村によって違います。探すときは、市区町村のページで「空き家 解体 補助」「除却 補助」と調べるか、空き家担当課に問い合わせます。
自治体の補助の例:新潟市
新潟市の場合、空き家の解体に関係する補助は次のようになっています(令和8年度の案内)。
- 空き家活用推進事業(跡地活用タイプ):未接道地(建築基準法上の道路に接していない土地)の購入費と、そこに建つ空き家の解体費(外構を含む)の1/3、上限50万円。再建築不可の土地を隣の人が買って解体する、といった場面を想定した制度です。令和8年度は8月28日に予算の上限に達し、受付を終えています。
- 木造住宅耐震改修工事等補助制度(除却工事):昭和56年5月31日以前の木造戸建てを除却する費用の1/3、上限50万円。ただし高齢者のみの世帯などが現に住んでいることが条件で、空き家は対象外です。
新潟市の制度の条件と、来年度に使うための準備は新潟市の空き家の解体補助金で詳しく説明しています。
このように、名前に「除却」と入っていても空き家が対象外の制度があります。補助の条件は年度ごとに変わるので、申し込む前に公式ページで最新の要件を確かめてください。多くの制度は、交付決定の前に着手した工事を補助の対象にしません。新潟市の空き家活用推進事業も、交付決定前に行った購入・工事は対象外としています。
費用・期限・数字のまとめ
| 項目 | 数字・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 国の補助計算上の上限単価(木造) | 除却工事費 1㎡あたり36,000円(令和8年度) | 国土交通省 標準建設費等 |
| 国の補助計算上の上限単価(非木造) | 除却工事費 1㎡あたり51,000円(令和8年度) | 同上 |
| 建設リサイクル法の届出 | 床面積80㎡以上の解体。着手の7日前までに発注者が届出 | 建設リサイクル法10条、施行令2条 |
| アスベスト事前調査の報告 | 解体する床面積80㎡以上。2022年4月1日から | 大気汚染防止法、環境省 |
| 建物滅失登記 | 取り壊した日から1か月以内。登録免許税はかからない | 不動産登記法57条 |
| 解体後の固定資産税 | 翌年度から住宅用地の特例が外れる。税額はおおむね最大4.2倍 | 地方税法、朝来市の説明 |
| 新潟市の跡地活用タイプ | 未接道地の購入費と空き家の解体費の1/3、上限50万円(令和8年度は8月28日に受付終了) | 新潟市 |
よくある質問
- 空き家の解体費用の相場はいくらですか?
- 公的な相場はありません。国土交通省が補助の計算に使う上限は1㎡あたり木造36,000円、非木造51,000円(令和8年度)ですが、これは上限です。実際の費用は構造・面積・付帯工事・立地で変わるので、複数の見積もりで確かめてください。
- 空き家の解体に届出は必要ですか?
- 床面積の合計が80㎡以上の建物の解体は、建設リサイクル法で、工事に着手する日の7日前までに発注者が届け出る必要があります。解体業者が代わりに手続きすることが多いので、契約のときに確かめてください。
- 空き家を解体すると固定資産税はどうなりますか?
- 建物の固定資産税はかからなくなりますが、翌年度から土地の住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がります。
- 空き家の解体に補助金は出ますか?
- 市区町村によって違います。多くは市区町村が国の支援を使って用意しているので、空き家のある市区町村のページで確かめるか、空き家担当課に問い合わせてください。
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出典
この記事は次の一次情報をもとに書いています(2026年9月時点(国交省の単価は令和8年度))。
この記事は2026年9月時点(国交省の単価は令和8年度)の法令・制度をもとにしています。税金・登記・補助金の扱いは個別の事情と年度で変わるため、最終的な判断は税理士・司法書士・市区町村の窓口に確認してください。詳しくは免責事項をご覧ください。